2025.04.14
暮らしにフィットするダイニング。テーブル&チェアの選び方ガイド

毎日の食事や、家族・友人とのおしゃべり。時には、ちょっとした仕事や子どもの宿題スペースにもなる。ダイニングは、暮らしの中でも「集まる」時間が生まれる特別な場所です。そんな大切な場所を心地よく整えるために欠かせないのが、テーブルとチェア選び。でも、いざ選ぼうとすると、「サイズや高さ、素材、色味も気になるし…」と、意外と悩みどころが多いもの。
今回は、初めてダイニングセットを選ぶ方や、買い替えを検討中の方に向けて、よくあるお悩みと選び方のヒントを、当店のインテリアコーディネーターのアドバイスとともにお届けします。

まずは、お部屋の広さと使用人数に合ったテーブルサイズを選ぶことからはじめましょう。ポイントは、「1人あたりのゆとりあるスペースを確保する」こと。目安として、幅60cm×奥行き40cmがひとり分の快適な食事スペースとされています。
例えば4人で使用する場合は、幅140~160cm程度のテーブルがスタンダード。6人で使うなら、幅180cm以上あると安心です。椅子を引くためのスペースも忘れがち。壁や他の家具との距離を60cm前後空けておくと、座る・立つの動作もスムーズになります。

テーブルと椅子の高さのバランスも重要です。理想的な差は、テーブルの高さと椅子の座面高さが約27~30cm程度の差があること。快適に座るためにも、この点をチェックしましょう。
また、椅子の形状やサイズに合わせて、テーブルとの脚間に余裕を持たせることも大切なポイント。アームの有無によって立ち座りの動作にも違いが出てくるため、実際の使い方をイメージしながら選ぶのがおすすめです。
✅ちょっとアドバイス
間取りに合わせて、「丸テーブル」や「伸長式テーブル」を検討することで、空間に合わせた使い方ができますよ。「丸テーブル」は、隣の人との距離が近く感じられ、顔が見やすいので、団欒に喜ばれるポイントです。「伸長式テーブル」は、人数に合わせてテーブルのサイズを調整できるため、来客が多い方やライフスタイルの変化にも柔軟に対応できます。



昔は「セット買い」が主流で、テーブルとチェアのデザインや素材を揃えた、統一感のあるコーディネートが人気でした。今でももちろん、テーブルとチェアをセットで揃えることで空間にまとまりが生まれるという魅力は健在です。サイズや色味の組み合わせに悩むことなく、すっきりと美しい空間が完成します。家具同士が調和することで、インテリア全体にもまとまりが生まれ、自然と心地よい雰囲気になります。
一方で、テーブルとチェアをあえて別々に選ぶスタイルも注目されています。チェアのデザインや色、素材を自分好みに組み合わせることで、ぐっと個性的であたたかみのある空間に。たとえば、形がまったく違う椅子をあえて並べて“抜け感”をつくったり、素材やカラーの組み合わせを楽しんで、自分だけの空間をつくってみてください。
✅ちょっとアドバイス
色のトーン、素材感、背の高さ、抜け感のバランスなど、どれかひとつでも揃えると統一感が生まれます。デザインは揃えつつ、ファブリックの色だけ変えて遊び心を加えたり。異なるチェアを選ぶ場合も、全体の“どこか”に共通点を持たせるのがまとまりのコツ。



ダイニングチェアって、つい見た目重視で選びがちですが、毎日使う家具こそ「快適性」が大切。ちょっとした違いが、日々の満足度をぐっと高めてくれます。
■ 短時間メインの方(食事中心)
→ すっきりとした「板座」や「軽量タイプ」がおすすめ。
掃除がしやすく、圧迫感も少ないので空間がすっきり見えます。
また、「カバーリングタイプ」を選べば、汚れてもカバーだけ洗えてお手入れも簡単◎
■ 長時間座る方(読書・仕事・おしゃべりなど)
→ 背もたれの角度が絶妙なチェアや、クッション性のある張りぐるみタイプが◎。
座面の奥行きや、背もたれのフィット感も座り心地に大きく関わってきます。
チェアによっては「包み込まれるような安心感」があるものも。

チェア選びの注意点
チェアを選ぶ際は、テーブルとの相性にもご注意を。特にアーム付きチェアを検討している場合、「テーブルに幕板(まくいた)があるかどうか」は重要なチェックポイントです。幕板があると、アームの高さによってはアームがテーブルの下に収まらないことがあり、またスペースを取るため、距離感に影響が出ることがあります。購入前に、チェアのアーム高とテーブルの幕板の位置・高さをしっかり確認しておくと安心です。
✅ちょっとアドバイス
「見た目以上に座り心地がよかった!」というお声を多くいただくのが、ハーフアームチェア。肘を軽く添えられてリラックスできるのに、立ち座りがしやすく圧迫感も少ない、バランスのいいデザインです。「自分がどんな時間を過ごしたいか」に注目して選ぶのが、心地よい空間づくりのコツです。



テーブルやチェアの素材は、空間の雰囲気を大きく左右します。床や壁の色と合わせて考えるのがコツ。
■ 木製(オーク/ウォールナットなど)
→ 自然な風合いであたたかみがあり、ほっと落ち着くダイニングに。
■ スチール脚やセラミック天板
→ 洗練されたモダンな印象に。シャープなデザインが空間を引き締めます。
■ 張地(ファブリック/レザー)
→ ファブリックはやわらかくカジュアルな印象。レザーは高級感があり、大人の空間に。
✅ちょっとアドバイス
床と家具がどちらも明るめだと、やさしい印象になる反面、全体がぼんやりしてしまうことも。そんなときは、脚やファブリックに濃い色や差し色を取り入れると、空間にリズムが生まれます。明るめの床にダークトーンの家具を合わせると空間が引き締まり、メリハリのある印象に。素材と色の組み合わせ次第で、同じ間取りでもガラッと雰囲気が変わりますよ。


じぶんたちらしい“ダイニング時間”をつくろう

テーブルとチェアは、ただ「食事をする道具」ではなく、家族の会話が生まれたり、ほっとひと息つける“場所”をつくってくれる存在です。
デザイン・サイズ・素材・座り心地…迷うポイントはたくさんありますが、大切なのは「じぶんたちの暮らしに合っているかどうか」。
朝食のパンとコーヒー、休日のブランチ、夜のちょっとした晩酌…そんな時間が、自然と心地よく整っていくのがダイニングの力です。迷ったら、「自分たちのライフスタイルに合うものって、どんなだろう?」とイメージしてみてください。
シンプルが好き?ナチュラル派?ちょっと個性的なデザインに惹かれる?正解はひとつではないからこそ、選ぶ楽しさがあります。
皆様がダイニングで過ごす時間が、もっと心地よいものになりますように。