空間の探求と技術の限界に挑戦することでデザイン界に名を馳せたデンマーク人デザイナー
空間の探求と技術の限界に挑戦することでデザイン界に名を馳せたデンマーク人デザイナー、ナナ・ディッツェル。その気品ある人格でもよく知られていました。伝統に捕らわれない自由奔放なデザインアプローチと確固たる技術への造詣。アクセサリー、テキスタイル、そして家具と革新的なデザインを次々と創り出したデザイナーです。60 年に渡る仕事を通じてデンマークデザイン界に大きな足跡を残した、ナナ・ディッツェル。機能的なデニッシュモダンの伝統に、独特の華のある美学を加えたデザインは住宅をはじめ数多くのパブリックスペースで使用されています。多様性に富む自然界に影響を受けたオーガニックで大胆なフォルム。ナナ・ディッツェル初期のデザインの大きな特徴です。何ものにも束縛されない自由への憧れ、改善の余地のあるすべてのものを
...MORE改善したいという強い思い。彼女独自の表現を追求し、ナナ・ディッツェルは常に新しい試みに挑戦してきたことで知られています。型にはめられることも、はまることも嫌ったナナ・ディッツェル。当時アバンギャルドと評価された、それまでにない野心的なデザインを夫であるデザイナー、ヨルゲン・ディッツェルと共に発表し、世界のデザイン界に大きな影響を与えています。当時活躍した多くのデザイナー同様に、まず家具職人としての教育を受けたナナ・ディッツェル。後に工芸スクールやデンマーク王立芸術アカデミーでデザインや建築を学んでいます。デンマークデザイン界に改革をもたらしたコーア・クリント師事しました。クリントは、建築をデザインの基本にとし、それまでの伝統や様式を重視したデザイン教育を実用的な建築や家具デザインへと反映させて大きな功績を残したデザイナーです。しかし、後に、ナナ・ディッツェルは、このクリントの教えに反旗を翻し、1940 年代に世界を圧巻した自由なモダニズムを支持。自然界にインスパイアされたオーガニックで自由奔放なフォルムに傾倒していきます。デザイナーとしての教育を終えた1946 年、ナナ・ディッツェルは同級生だったヨルゲン・ディッツェルと結婚。二人はすぐに共同でデザインスタジオを設立し、ヨルゲン・ディッツェルが他界する1961 年までここを基盤に活動を続けます。ラタンや木材を使った家具を中心に、二人は15 年間の協働を通しデンマークデザイン界に残る数々の名作を発表。世界的なデザイン賞であるミラノ・トリエンナーレで金賞および銀賞に輝くほか、1956 年には北欧の権威あるデザイン賞のLunning 賞を受賞しています。それまでの常識を打ち破る斬新な家具を輩出したナナ・ディッツェルとヨルゲン・ディッツェルの協働作業。二人は人間の体と空間の探求を重視し、それまで一般的とされていた素材や加工技術に関心を示すことはありませんでした。自由な発想から生まれる奔放なイメージ、新しいフォルムや機能。二人はより自由で、より豊かな生活に貢献する家具を創ることを追求したのです。また多くの家具が自分たちの必要性からデザインされています。1954 年にデザインされた、伝説的な子供用ハイチェアもその一つ。この椅子は、建築、アート、デザインなど、デンマークを代表する文化遺産「Danish Culture Canon」の一つとして選ばれています。1961 年、ヨルゲン・ディッツェルが他界し、若くして3 人の幼い子と共に一人残されたナナ・ディッツェル。デザインスタジオも多くのプロジェクトを抱えていました。この頃も、ナナ・ディッツェルは自分のセンスを磨き、今日名作と評価される数々デザインを発表しています。その後、ナナは、英国ロンドンで家具の販売を手掛けるカート・ハイドに出会い、1968 年に結婚、ロンドンに移住します。ナナ・ディッツェルはハイドと共に国際的な家具コレクションを展開するショールームInterspace を設立しデザイナーとしての活動を続けます。1985 年カート・ハイドの他界を機に、ナナ・ディッツェルはコペンハーゲンに戻ります。ナナ・ディッツェル・デザインスタジオとして活動を再開すると野心的なデザインを次々と発表。デザイナーとして精力的に仕事をこなしていきます。広まる知名度と数々のデザイン賞。ナナ・ディッツェルは、デンマークデザイン界を代表する女性デザイナーとして、確固たる地位を築いていきます。1990 年代に入ってもその活動は衰えを知りません。若かりし頃と変わらないデザインへの関心と情熱で多くの仕事をこなしていきます。2005 年に他界するまで、自身のスタジオでデザインチームを率いて長女のデニー・ディッツェルと共に精力的に活動していました。ナナ・ディッツェルは、英国のロイヤル・ソサエティ・オブ・アーツ(RSA)の名誉デザイナーに任命されたほか、デンマークのダンネブロ勲章を授与されるなど数々の栄誉あるデザイン賞に輝いています。さらに長年に渡る貢献に対し、デンマーク・アート財団から奨励金を授与されたほか、デンマーク工芸評議会の年間賞「トーヴァル・ビネスブル・メダル」も受賞しています。 ...CLOSE
空間の探求と技術の限界に挑戦することでデザイン界に名を馳せたデンマーク人デザイナー、ナナ・ディッツェル。その気品ある人格でもよく知られていました。伝統に捕らわれない自由奔放なデザインアプローチと確固た
...MOREる技術への造詣。アクセサリー、テキスタイル、そして家具と革新的なデザインを次々と創り出したデザイナーです。60 年に渡る仕事を通じてデンマークデザイン界に大きな足跡を残した、ナナ・ディッツェル。機能的なデニッシュモダンの伝統に、独特の華のある美学を加えたデザインは住宅をはじめ数多くのパブリックスペースで使用されています。多様性に富む自然界に影響を受けたオーガニックで大胆なフォルム。ナナ・ディッツェル初期のデザインの大きな特徴です。何ものにも束縛されない自由への憧れ、改善の余地のあるすべてのものを改善したいという強い思い。彼女独自の表現を追求し、ナナ・ディッツェルは常に新しい試みに挑戦してきたことで知られています。型にはめられることも、はまることも嫌ったナナ・ディッツェル。当時アバンギャルドと評価された、それまでにない野心的なデザインを夫であるデザイナー、ヨルゲン・ディッツェルと共に発表し、世界のデザイン界に大きな影響を与えています。当時活躍した多くのデザイナー同様に、まず家具職人としての教育を受けたナナ・ディッツェル。後に工芸スクールやデンマーク王立芸術アカデミーでデザインや建築を学んでいます。デンマークデザイン界に改革をもたらしたコーア・クリント師事しました。クリントは、建築をデザインの基本にとし、それまでの伝統や様式を重視したデザイン教育を実用的な建築や家具デザインへと反映させて大きな功績を残したデザイナーです。しかし、後に、ナナ・ディッツェルは、このクリントの教えに反旗を翻し、1940 年代に世界を圧巻した自由なモダニズムを支持。自然界にインスパイアされたオーガニックで自由奔放なフォルムに傾倒していきます。デザイナーとしての教育を終えた1946 年、ナナ・ディッツェルは同級生だったヨルゲン・ディッツェルと結婚。二人はすぐに共同でデザインスタジオを設立し、ヨルゲン・ディッツェルが他界する1961 年までここを基盤に活動を続けます。ラタンや木材を使った家具を中心に、二人は15 年間の協働を通しデンマークデザイン界に残る数々の名作を発表。世界的なデザイン賞であるミラノ・トリエンナーレで金賞および銀賞に輝くほか、1956 年には北欧の権威あるデザイン賞のLunning 賞を受賞しています。それまでの常識を打ち破る斬新な家具を輩出したナナ・ディッツェルとヨルゲン・ディッツェルの協働作業。二人は人間の体と空間の探求を重視し、それまで一般的とされていた素材や加工技術に関心を示すことはありませんでした。自由な発想から生まれる奔放なイメージ、新しいフォルムや機能。二人はより自由で、より豊かな生活に貢献する家具を創ることを追求したのです。また多くの家具が自分たちの必要性からデザインされています。1954 年にデザインされた、伝説的な子供用ハイチェアもその一つ。この椅子は、建築、アート、デザインなど、デンマークを代表する文化遺産「Danish Culture Canon」の一つとして選ばれています。1961 年、ヨルゲン・ディッツェルが他界し、若くして3 人の幼い子と共に一人残されたナナ・ディッツェル。デザインスタジオも多くのプロジェクトを抱えていました。この頃も、ナナ・ディッツェルは自分のセンスを磨き、今日名作と評価される数々デザインを発表しています。その後、ナナは、英国ロンドンで家具の販売を手掛けるカート・ハイドに出会い、1968 年に結婚、ロンドンに移住します。ナナ・ディッツェルはハイドと共に国際的な家具コレクションを展開するショールームInterspace を設立しデザイナーとしての活動を続けます。1985 年カート・ハイドの他界を機に、ナナ・ディッツェルはコペンハーゲンに戻ります。ナナ・ディッツェル・デザインスタジオとして活動を再開すると野心的なデザインを次々と発表。デザイナーとして精力的に仕事をこなしていきます。広まる知名度と数々のデザイン賞。ナナ・ディッツェルは、デンマークデザイン界を代表する女性デザイナーとして、確固たる地位を築いていきます。1990 年代に入ってもその活動は衰えを知りません。若かりし頃と変わらないデザインへの関心と情熱で多くの仕事をこなしていきます。2005 年に他界するまで、自身のスタジオでデザインチームを率いて長女のデニー・ディッツェルと共に精力的に活動していました。ナナ・ディッツェルは、英国のロイヤル・ソサエティ・オブ・アーツ(RSA)の名誉デザイナーに任命されたほか、デンマークのダンネブロ勲章を授与されるなど数々の栄誉あるデザイン賞に輝いています。さらに長年に渡る貢献に対し、デンマーク・アート財団から奨励金を授与されたほか、デンマーク工芸評議会の年間賞「トーヴァル・ビネスブル・メダル」も受賞しています。 ...CLOSE